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理事長BLOG

血液サラサラ薬と骨粗鬆症と抜歯について

2022年10月23日
院長の奥井です。
今回は血液サラサラ薬と骨粗鬆症と抜歯について説明したいと思います。

高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、喫煙、過度の飲酒、不整脈などの原因で血液が固まって血の塊(血栓)ができます。

血栓が血管の中で詰まると、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症などの血栓症を引き起こします。 
血栓症の予防や発症後の再発予防のために血を固まりにくくする薬、つまり血をサラサラにする薬(抗血栓薬)が用いられるのです。

抗血栓薬は、抗血小板薬と抗凝固薬の2種類に分けられます。

●抗血小板薬:血液を固まらせる血小板の働きを抑え、血流の速い血管での血栓を予防します。よく用いられるのがバイアスピリン、パナルジンなどです。

●抗凝固薬:血液を固める様々な凝固因子の働きを抑え、血流の遅い血管などで血液が滞るために起こる血栓を予防します。
よく使われるのはワーファリンです。

この二つの薬を以前は抜歯の際に一旦やめて抜歯をする事が多かったのです。これは抜歯をした際に止血が困難という理由ですが、最近はお薬を飲みながら抜歯するという考え方になってきています。
お薬をやめる事で、血栓が固まり血栓ができてしまうリスクの方が高いからです。
もちろん止血が難しくなりますので、止血を対応をしっかりと行う必要があります。

また骨粗鬆症の場合ですが、骨粗鬆症のお薬を飲まれたり、注射をされている場合に抜歯を行うと、
あごの骨が壊死する「顎骨壊死」が起こる事がいわれて久しいです。

骨がもろくなるのを防ぐために骨粗鬆症のお薬を飲んでいるのになぜ?となりますがそれは通常、抜歯によって顎骨に感染が生じると、感染を起こした骨を破骨細胞(はこつさいぼう)が排除して骨が壊死を起こさずに治っていくところをところが、骨粗鬆症薬であるビスホスホネート系薬剤を投与することによって破骨細胞の働きが低下するため、感染を起こした骨が残存することになり、顎骨壊死が起こるというのが有力な説となります。

そのため、抜歯の際はこのビスホスホネート系薬剤を一旦やめてから抜歯をするなどの措置を言われていますが、最近ではそのビスホスホネート系薬剤が骨粗鬆症のためではなく、抗腫瘍目的で使われている場合に顎骨壊死が起こりやすいと言われてきています。
またビスホスホネート系薬剤を中止し続ける事で骨折のリスクが高まる事や抜歯しないといけない歯を放置する事でかえって感染を起こすこともあります。それよりも歯磨きがしっかりできていなくて汚れているとか感染の原因を作らない事が大切です。

いずれにせよ抜歯に関しての考え方は変化していきます。それらの事の知識を常にアップデートしていく事が必要だと思います。

ただし、先ほどの血液サラサラ薬の事は抜歯ガイドラインという学会などが示した指針ですが骨粗鬆症についてはポジションペーパーという見解を示したものになります。
患者様の状態により異なりますので、ご相談される事をお勧め致します。

 



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