院長の奥井です。
今回は歯科でのCTレントゲンの必要性について説明したいと思います。
医科ではよくCTを撮影して診断することは多いのではないでしょうか。
CTは3次元で撮影できますので、2次元のレントゲンだけではわからない
情報を得られることが多いです。
これは歯科でも当てはまることと言えます。
時々患者様が症状を訴えられる事で、神経をとる治療を終えて
被せても噛むと痛いというがあります。
この場合、もちろんその歯を叩いてみて痛みがないか(打診痛)
根の先に相当する場所の歯茎を押さえて痛くないか(根尖部圧痛)などを
調べたり、レントゲンを撮影し診断します。
レントゲンで一見おかしくなく、一旦噛み合わせを調整しそれでも痛い場合に
被せ物を外すことになりますが、歯科の治療は被せ物を外すと被せ直さないと
いけない、いわゆる「元に戻せない』治療が多いです。
そのためCTを撮影しさらに診断することは大切かと思います。
画像のレントゲンでは真ん中の歯に根管充填(こんかんじゅうてん)と
いい樹脂が入っています。しかしなかなか痛みが引きません。
そこでCTを撮影しますとこのように写ります。
各画面に顔があると思います。
左上はうえからの断面図で右下は正面の断面図です。
通常のレントゲンは左下の画像が写るのみです。
右下の画像で根っこの一部が骨から出ている事が
わかります。
根っこは骨の中に覆われていないといけませんが、
時々このような状態があります。
これをフェネストレーションといいます。
歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)を行いました。
根の先端を切って短くし骨で覆う形するためです。
術後3年経過でのレントゲン写真です。
腫れや痛みもなく落ち着いています。
歯茎が腫れおできのような腫れ物(サイナストラクトと言います)を
作っており根管治療を行いました。
CTを撮影しますと根の周囲の膿がかなり広範囲であることが
わかります。
可能な範囲で根に樹脂を入れました。
このようにCTはレントゲンでは得られない情報を得ることが
できます。
CTの被ばく量
CTというと被ばく量が多いのではと思いがちですが、1回あたり
およそ0.04ミリシーベルトです。
普通に生活をしている中で誰もが受ける「自然放射線」というものがありますが日本では、年間自然放射線量は平均で「1.5ミリシーベルト」程度となっています。歯科用CTによる「0.04ミリシーベルト」の被ばくがいかに少ない数値であるかがわかるかと思います。
CTの費用
CTは健康保険で撮影できます(保険診療の内容によります)。1回およそ3300円程度です
(他の検査料などは含みません)。
レントゲンではわかりづらい症状の時にCTを撮影し診断することも手段の一つと
思います。