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理事長BLOG

ナンスのホールディングアーチ 乳歯が早く抜けて移動してしまった場合の装置について 

2022年8月14日
院長の奥井です。
今回は乳歯が早く抜けてしまい、さらに隣の歯が移動してしまった
場合の治療を紹介します。

一般的に乳歯が早く抜けてしまう場合があります。
多いのは乳歯が虫歯になり神経を抜く治療をしても
さらに膿が溜まったりして、周囲の骨が溶けてしまい
抜かざるおえない場合が多いです。


この場合、乳歯を抜歯して画像のようなバンドループという
装置を装着します。バンドがクラウンという被せ物に
なる場合もあり、保険適応の治療になります(状況により
保険適応外の場合もあります)。これらを保隙(ほげき)装置といいます。

しかしこの保隙装置は歯の移動を防ぐだけであり、すでに移動してしまった
場合には対応できません。

歯が移動してしまった場合は、歯を動かす事になり自費診療である
矯正治療になります。


画像は左上(画像では右上)の乳歯が通常より早く自然に抜けてしまいました。
そして後ろの永久歯が前方に傾斜しています。


レントゲンで考えられるのは、矢印の部分ですが、左上の奥歯が
前方に生えてきたため、前方の乳歯の根を溶かしてしまった事です。


ナンスのホールディングアーチという装置を
装着しました。
通常、ナンスのホールディングアーチは矯正治療中に奥歯が動かないように
上あごにプラスティックの板を押し当てて対応する装置です。
この場合は矢印の曲がった針金を加え奥歯を後ろに移動させます。


奥歯が移動してきています。


抜けた歯のスペースは確保できましたが、しかしバンドをつけて固定している歯が
抜けてしまったので奥歯にバンドをつけた装置に変更しました。


無事に永久歯が生えてきました。


犬歯が八重歯っぽく生えてきましたが、それ以降の
治療は希望されず矯正治療は終了としました。


その後、永久歯が生え揃ってからの定期検診ですが、
若干奥歯が外側に生えているものの犬歯はそれほど問題なく
生えています。


ワイヤー矯正治療を行いませんでしたが、
それほど叢生(そうせい)といって重なった歯並びには
なっていません。


レントゲンです。それほどの問題はありません。

もし乳歯が早く抜けて今回の対応をしていなかったら
左上の奥歯が前方に倒れてこのような歯並びは得られなかったと
思います。
また小児矯正治療のみで終了ですので、永久歯矯正治療の費用も
かからず終了しています。

乳歯が早く抜けてしまった場合、まず歯科医位に相談が必要と思います。
しかし小児矯正に得意な歯科医院での対応になるかと思われます。

今回の治療が全てに場合に対応できる事ではありません。
患者様の歯並びの状況により異なりますので、しっかりと
ご相談されることをお勧め致します。

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