今回は歯周病治療について説明したいと思います。
「歯周病は薬で治るのか?」
というご質問もよく受けます。
薬では治らないと言わざるをおえません。
症状を一時的に抑える抗生剤はありますが、根絶させる薬はありません。
歯周病菌が根本の原因になりますが、歯周病になりやすい体質的なもの
もあるからです。よく例えで患者様にお伝えするのですが、花粉が飛んでいても
何ともない人もいれば、くしゃみが止まらない人もいるようにです。
あと糖尿病の場合、感染に弱くなり歯周病が進行しやすいです。
また噛み合わせの強い方や歯軋りがひどい方も外傷が加わって歯周病が進行する
可能性が高くなります
また口の中に生息している菌の多くは、お互いに結びついて、「バイオフィルム」というバリアを
形成しているため、薬はほとんど効かないです。
バイオフィルムは、例えるなら三角コーナーのぬめりと同じで、しっかりスポンジでこすらないと
きれいにならないようにバイオフィルムも歯ブラシでしっかりこすらないと取れないのです。
さらに、菌は古くなっていくと歯石という石のような状態になり、ここにさらに菌が付着します。
この歯石はバイオフィルムよりもさらにやっかいで、歯ブラシだけでは取れず、歯科医院に行ってスケーラーという
機械で除去しないといけません。
歯石といったすみかや、バリアに守られている状態では、薬で減らせたとしても一時的な処理となります。
バイオフィルムにも浸透するという抗生剤がありますが、これも一時的に菌の数を減らすだけであり、
しばらくすると歯周病菌は再発してしまいますので根本的な薬はないと言えます。
また歯石が付着し歯周ポケットが形成されますと歯周病菌は酸素の嫌いな菌ですのでポケットの奥へ奥へと
繁殖します。それに伴い歯周組織という歯茎の周りの組織が破壊され歯槽骨(しそうこつ)という歯を支える
骨が溶けていってしまうのです。これが進むと歯が抜け落ちてしまいます。
画像のレントゲンの青マーク部分は歯槽骨が溶けている状態です。
一度溶けた骨が元に戻るのは難しいと言えます。
また歯周ポケットを形成しますとポケット内に歯ブラシを入れることは難しく
機械でないと清掃できません。
歯周ポケットの歯石除去動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=Se7Qv5LapYE
歯周病は生活習慣病と言われています。悪い生活サイクルや食事を続けていることで体の免疫力が落ち、
本来ならば抑えられる歯周病菌の暴走を止められなくなって、歯周病になリます。
そのため、生活習慣を改善することが賢明です。
結論としましては歯周病を治す薬はなく、歯磨きをしっかり行う
生活習慣を整える そして歯科医院で歯石除去などの歯周病治療をしっかり受けることが
大切になります(それらに付随し被せ物を治したり、歯並びの治療などが必要になることも
あります)。
お気軽にご相談下さい。