院長の奥井です。
今回は矯正治療に用いるヘッドギアについてです。
①ヘッドギアとは?
まず歯並びの治療ですが、日本人の場合最も多いのは叢生(そうせい)と
いって歯の生えるスペースがなく重なっている場合が最も多いと言われています。
その場合、小児の場合は顎の成長や歯が動きやすい事から当院では
床矯正(しょうきょうせい)装置を用いて拡大する事をよく行います。
画像が床矯正装置です。真ん中にネジがついており
これを患者様ご自身か保護者の方で回していただき
拡大していきます。
青点が次に生える歯の大きさでスペースが足りませんので
拡大していきます。
しかし床矯正は横方向の拡大しかできませんので
前歯4本生えた後の犬歯のスペースを作ることができなく
なります。
そこでヘッドギアを用いて奥歯を後方に移動し犬歯の
生えるスペースを獲得するというものです。
②ヘッドギアの構成要素
ヘッドギアや奥歯に装着するバンドとフェイスボウ、ヘッドキャップまたは
ネックバンドで構成されます。
画像の白いものがフェイスボウです。奥歯にバンドがつけられ
バンドに管がつけてありここにフェイスボウを差し込みます。
これはネックバンドです。奥歯を後方そして
下方に移動させたい場合に使います。
かみ合わせが深い場合に用います。
こちらはヘッドキャップになります。
奥歯を後方そして上方に移動させたい場合に
用います。
③ヘッドギアの機構
ヘッドギアは上記の場合だけでなく、過度に成長した上顎の成長の抑制、上の奥歯の位置の調整にも
使用されます。
ヘッドギアは外出時は使用できにくいですが、できるだけ12時間装着することで
効果が表れます。
上のレントゲンはヘッドギアを用いたことで奥歯が後ろに移動しています。
しかし後ろに移動しすぎていますので外します。そうしますと
少し戻り、下のレントゲンにようにさらに奥歯が生えやすくなりました。
横顔のレントゲンでは青矢印の位置が上より下の方が後方に移動し理想的な
状態になっています。正常なのは下の奥歯が少し前に出ている状態です。
まとめ
ヘッドギアは過度に成長した上顎の成長の抑制、上の奥歯の位置の調整、
また後方に移動し犬歯の生えるスペースを獲得するために装着します。
大がかりな装置ですが、他の装置は歯に維持を求めるものもあり、その歯が
動いてしまう可能性があり安全な装置といえます。