今回はソケットリフトについて説明したいと思います。
ソケットリフトとはインプラント手術の方法の一つになります。
ソケットとは穴という意味ですので、歯を抜いた穴、抜歯窩(ばっしか)
のことを指します。そしてリフトは美容整形でも使われる言葉ですが
持ち上げるという意味です。ですから抜歯した穴を持ち上げるという
事になります。
これは上の奥歯の手術の場合に使われるのですが、上の奥歯の上には
上顎洞(じょうがくどう)という空洞があります。副鼻腔とも呼ばれ
空気を加温・加湿する機能、ほこりや細菌などの異物を除去する機能、
顔面の骨の重量を軽減して衝撃を吸収する機能、そして声に響きを
加える共鳴腔の機能など様々な機能があります。
インプラントを埋入する場合に、骨の量いわゆる長さが足りなくそのまま
インプラントを埋入すると上顎洞に突き抜けてしまい副鼻腔炎を起こして
しまう場合があります。
副鼻腔には副鼻腔粘膜があります。鼻の空気を加湿・加温し、異物を除去する
役割を持ちますが、ウイルスや細菌などの感染によって炎症を起こすと
粘膜が腫れ分泌物が排出されなくなり、鼻閉や黄色い鼻水、頭痛などの症状が現れます。
そのため、この副鼻腔粘膜を破らないで持ち上げてインプラントのスペースを
確保する手術をソケットリフトと呼びます。
ソケットリフトの術式です。この場合はインプラントの
周囲の骨の幅は十分にありましたので外側内側に
人工骨を補填する必要がないため、フラップレスといい
歯茎に切開を加えずパンチでインプラントの穴を
開けました。非常に低侵襲な処置になります。
8mmのインプラントを埋入するのですが
骨が7mmのためドリルで6mmまで削り超音波装置で
粘膜を破らず骨だけに穴を開け、画像に出ています
オステオトームという器具を槌打(ついだ)して上顎洞粘膜を
挙上させます。
インプラントを埋入を終えキャップを装着した
ところです。切開、縫合をしていませんので
術後も痛々しくありません。
レントゲン画像です。必ずCTで確認をします。
CT画像です。青線部の上顎洞が挙上されているのが
わかります。
このようにソケットリフトを行うことで
インプラントの適応範囲が増えることになります。
ただしソケットリフトで挙上できる量はおよそ3mm程度です。
それ以上に挙上しないといけない場合はサイナスリフトという
処置が必要になります。
ソケットリフトの費用 110,000円
インプラント埋入手術代 220,000円
キャップ代 8,000円
テンポラリーアバットメント 19,800円
ガイド費用 99,000円
GBR(外側内側に骨が足りない場合、人工骨を補填する処置)
約100,000円
上部構造代 143,000円〜176,000円(R7年10月時点)
この記事は院長が投稿しました。
プロフィール
医療法人爽誉会おくい歯科 院長 奥井英幹
1999年より名古屋市北区で開業しております。
骨造成を含むインプラント治療 ワイヤー装置を用いた
全顎矯正治療に歯周再生療法 小児矯正と幅広く診療
しております。またスタッフ採用、教育にも力を入れ
十分な体制でのチーム医療を提供できるように
院内スタッフと診療にあたっています。
地域で一番の診療所を目指しております。