今回はインプラント矯正の話を致します。
インプラント矯正ってご存知ですか?
患者さんにお話するときによく歯のないところに入れる口腔インプラントと間違えられる場合が多いのです。
インプラント矯正に使うインプラントは通常のインプラントより大変小さく細いものです。
通常のインプラントが直径約3ミリぐらいのに対して1ミリほどしかなく、歯肉に切開といって開いたりする必要もありません。
ですから手術自体は口腔インプラントに比べ大変でなく時間もおよそ数分で終わります。
そして矯正治療が終わりましたら外してしまうものです。
では何のために使うのかという事です。
それは矯正治療の装置を簡単にし、副作用を少なくするためなのです。
例えば歯を動かす時に固定源というものが必要になります。
簡単に言いますと歯を引っ張ったりする時に、引っ張られる方向の歯に装置をつけるわけですが、この「綱引き」がうまく行かないと引っ張る方向の歯が思わぬ方向に動いていってしまいます。
ですから固定源となる歯を3本ばかり針金で縛っては補強したりするわけですね。
そうするとたくさんの歯に装置をつけなくてはいけなくなり、お口の中の違和感も増えてしまいます。
インプラント矯正はインプラントが固定源になりますので、他の歯に装置をつけなくてよくなります。
ただしこれは治療の方法により異なりますので絶対ではないです。
実際のケースを載せます。
左下の被せ物がとれて時間が経った場合です。
左上の一番奥の歯が下に伸びてしまい、このままでは左下を被せるスペースがありません。
左右の丸いものが矯正用のインプラントです。
これにゴムをつけて歯を圧下といい沈めています。
左が行う前、右が行った後の写真です。
かなり左の歯が上に上がって(沈んでいます)います。
これで左下を被せるスペースが出来ました。
この治療をしないと左下の歯をさらに削ってとても薄い歯に被せる事になります。そうしますと被せものがとても薄くなり割れたり穴があいたりしやすくなります。
それか上の歯を削ってスペースを作ることになります。
神経をとってかぶせてある歯でしたら、削って低くかぶせ直す事もできる場合があります。
しかしこの歯の様に神経がある場合は、削る事でしみてきたり、神経を取らないといけなくなる事もあります。
インプラント矯正はこの様な圧下ばかりでなく様々な治療に応用できます。
ただしインプラント矯正を取り入れている歯科医院が多くはないので、ご興味のある方はお尋ねになられるといいと思います。