今回は骨性癒着(ゆちゃく)歯の抜歯と減張切開(げんちょうせっかい)について
説明したいと思います。
骨性癒着歯とは歯と周りの骨がくっついている状態です。
通常、歯の根っこの周りには歯根膜という靭帯がついており
歯根膜と歯が結合しています。歯根膜は伸び縮みしますので
歯は動くのです。
しかし歯根膜が何らかの原因でなくなり、骨と直接くっついてしまうと
場合によっては歯が吸収といって溶けてしまうこともあります。
また骨性癒着歯の抜歯は難しくなります。通常、歯には歯根膜があるので
歯根膜がちぎれて歯が抜歯できるのです。骨性癒着歯の場合は
歯根膜がないため、いわゆる「脱臼」して抜歯することができません。
そのため歯肉を剥離(はくり)といって切開し開いて骨を削らないと
抜けない事が多いです。
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骨性癒着歯です。歯の長さが両隣よりもかなり長く
また中もかなり虫歯で歯が弱っているため抜歯と
なりました。
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レントゲンでは点で囲まれた部分に黒いものが
混ざ歯が溶けているのがわかります。
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歯茎を切開しますと点の部分が根っこになります。
周囲の骨を削って抜歯を行いました。
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抜歯を終えた状態です。
ここで縫合をするのですが減張(げんちょう)切開という
切開法があります。
骨の表面に骨膜という膜がありますが、たとえば抜歯しますと
歯のあった部分は穴が空いてしまいそこに血液の塊が溜まり
止血するのですが、出血が心配な場合など歯茎を引っ張って
穴を隠す必要があります。
そこで骨膜のみを切開しますと歯茎を伸ばすことができます。
それが減張切開と言います。
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点の部分が骨膜です。ここのみを切開しますと
歯茎を伸ばす事ができます。
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減張切開を行い縫合したところです。
歯があった穴が完全に塞がれています。
癒着歯の抜歯や減張切開はテクニックが必要です。
抜歯にもいろいろなケースがありますので、
紹介させていただきました。